南アフリカが世界に誇るジャズ・ピアノの巨匠、アブドゥーラ・イブラヒム。今では伝統と言える、毎年ドイツ東部に位置するヒルジンガー・ホールにて開催される彼のバースデー・コンサート。素晴らしい音響設備のもとで行なわれるソロ・ピアノ演奏は、同ホールにとって毎年恒例のハイライト・イベントなのである。2020年はロックダウン真っ只中ということもあり、通常のコンサートは録画配信に差し替えられた。限られた撮影スタッフ、無観客という環境の中で行なわれた今回のパフォーマンスでイブラヒムは、豊富なモダン・ジャズ・スタイルをこれでもかと披露している。アルバムには、長く愛されてきたものから最近のアルバム楽曲、さらには「In-Tempo」「Once Upon A Midnight」や「Signal On The Hill」といった新作など全20曲を収録している。そして、シングル曲「Blue Bolero」はアルバム全体のトーンを例示している。刺激的なメロディとノスタルジックなテーマの間を巧妙に行き来し、明らかにパーソナルでありながら、と同時に無意識に誰もが具体化できる内容に仕上がっている。ほんの2分程度の楽曲だが、深い熟考を招き、アルバムの持つ非常に親密な性質とイブラヒムの独特の演奏へと誘う作品に仕上がっている。
温かみとタイムレスさを持ち合わせたイブラヒムのピアノをぜひ堪能してほしい。
1. Mindiff (3:10) 2. Trieste My Love (1:55) 3. Nisa (2:24) 4. Blue Bolero (2:08) 5. In-Tempo (5:04) 6. Dreamtime (2:30) 7. Blue Bolero (First Reprise) (0:38) 8. Peace (1:49) 9. Blues For A Hip King (1:05)
B
1. District 6 (1:02) 2. Tokai (0:39) 3. District 6 (Reprise) (0:14) 4. Pula (0:42) 5. Sotho Blue (3:20) 6. Blue Bolero (Second Reprise) (0:22) 7. Did You Hear That Sound? (1:29) 8. In The Evening (1:33) 9. Once Upon A Midnight (6:27) 10. The Wedding (4:52) 11. Signal On The Hill (1:06)
Credits
Piano and composition by Abdullah Ibrahim Recorded byRené Kampka Mixed and Mastered by Caspar Sutton-Jones